【小話】教室に掛かった額の中の「平等 自由 平和」という言葉

オカルト・小話

514:2009/06/15(月) 02:32:02.65 ID:fkjTQUvs0

教室の中、子供達の前で一人の中年女性教師が泣いている。
そこへ、時報と同時に別の女性教師が入って来る。
「子供達はどうなる」と訴えていた中年教師を教室から送り出し、その教師は子供達に語り掛ける。

 

最初は、不審気な表情を見せる子供達。
だが、教師が子供達の名前や特技などを言い当て、それを三日間で覚えて来たと話すと、次第に心を開き始める。
次に教師は、教室に掛かった額の中の言葉の意味を問い掛ける。
平等 自由 平和
そこで、一人の少女が教師の着ていた服について尋ねた。
こんな服は嫌いかと教師が尋ねると、少女は服を褒めた。
「じゃあ、これからは、みんなにも同じ服を着て貰いましょうね。
 そうすれば、明日着て行く服を考えなくてもいいでしょう?
 みんな同じ服、これが平等だと思わない?」

 

518:2009/06/15(月) 02:32:57.94 ID:fkjTQUvs0

この意見に、一人の少年が食って掛かる。
すると、教師は続けた。
「そう、何を着るのも勝手、それが自由というのよ」
これにも反抗する少年。
少年の父親は、どこかに連れて行かれていたのだった。
教師は、「大人でも学校に行く」「すぐに帰って来る」と言う。
すると、少年は机の中から新聞の切り抜きを取り出す。
「クーデターが起きて、日本の憲法が変わっちゃったんだ!」
「憲法って何?」
「国の決まりだよ」
教師は、これにも優しい口調で答える。
「国の決まりでも、間違っていたら変えなきゃね?」
そして、女性は明日から『お泊り』に行く事を発表した。
キレイな部屋で美味しいものを食べると聞き、喜ぶ子供達。
何が食べたいかを子供達に尋ねた教師は、おもむろに言い出す。
「さぁ、みんな目を閉じてお祈りしましょう。
 『神様、お菓子を下さい』」

 

522 :2009/06/15(月) 02:33:50.33 ID:fkjTQUvs0

くすくす笑いをこらえながら、女性の言葉に従う子供達。
当然お菓子は現れない。
「じゃあ『指導者様』に変えてみたらどうかしら?」
子供達の机の上にお菓子を置いていく女性。
目を開けてお菓子を見つけ、喜ぶ子供達。
だが、一人反抗していた少年は、薄目を開けて全てを見ていた。
「お菓子を置いたのは、『指導者様』じゃなくて先生じゃないか!」
微笑む女性。
「そう、実際にお菓子を机の上に置いたのは先生です」
あっさりと認められ、きょとんとする子供。
女性は、少年を賢いと褒めながら言葉を続ける。
「いくら誰かに祈っても、本当は何も出て来ません。
 もし、何かしてくれる人がいるとすれば、それは神様なんかじゃなくて、先生や他の人の力なの」
言葉に詰まる少年を、他の子供達も褒め始める。

 

525 最後:2009/06/15(月) 02:34:48.41 ID:fkjTQUvs0

続けて教師は、新学期のクラス委員を誰にしようか話し始めると、子供達は少年がいいと口々に言い出す。
まんざらでもない様子の少年。
教師は、クラス委員の最初の仕事として、掛けられた額を外してしまおうと提案する。
ある少女が、「大切なものでは?」と言い出す。
「本当に大切なのは、中に書かれた言葉でしょう?
 だったら、それはみんなの心の中に掛けておけばいいわよね」
子供達は納得し、額を外した少年はそれを窓から投げ捨てた。
地面で砕ける額を見て、歓喜する子供達。
子供達を見て微笑む女性の腕時計は、丁度23分を経過していた。
そして女性は、自分の服と同じ制服と新しい教科書を取り出す。
「古い教科書を破った人から、取りに来て下さい」
もう、疑問を唱える子供はいなかった。

 

526 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/15(月) 02:35:28.90 ID:hnJwK3yu0

これが23分間の奇跡です。
※23分間の奇跡:ジェームズ・クラベルの小説。
戦争に敗れて占領された国の学校の教室に、新任の教師がやってくる。
初めは疑問と不審を抱いていた生徒たちが、わずか23分間で洗脳されてしまう過程が描かれている。

 

 

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